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旅の記録

夢は便利だ。
例え身体が不自由でも、夢の中では自在に動ける。
だから目を閉じた。
すると、分裂した。
二つが一つ。
そんな夢を見た。

旅をしていた。
どこまで歩いても見えるその樹は始まりであり、いつか戻る場所でもある。

繰り返す始まりと終わりの中で、
記憶と身体の誤差は生じる。
曖昧の記憶と見知らぬ姿で旅を続ける。

傷を負うと、その傷口から死は蔓延する
痛さと恐怖の中でゆっくり枯れるより、
一瞬の痛みだけで散る方が楽だ。
二つが一つ
片方が枯れるともう片方も散る
巡り合う
また再生する。

花びらによって構成され
散る時も花のように
目が醒める時いつも樹のそばだった

樹は夢の原点
終わりと始まり
どこまで歩いてもいつかここへ戻る。

目が醒めると夢も消えてしまう
手を伸ばしても現実には触れない
相容れない存在
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